DeNAの前回決算発表からの進捗予想
DeNAの前回決算発表は2025年2月7日に行われた2025年3月期第3四半期(2024年4月~12月)の連結決算(IFRS)で、以下の結果が報告されています:
- 売上収益: 1,167億2,700万円(前年同期比12.1%増)
- 営業利益: 209億7,900万円(前年同期は276億2,600万円の赤字)
- 税引前利益: 230億3,100万円(前年同期は297億9,500万円の赤字)
- 最終利益: 157億5,500万円(前年同期は312億3,300万円の赤字)
- ゲーム事業:
- 売上収益: 505億8,100万円(前年同期比29.4%増)
- セグメント利益: 210億2,600万円(前年同期比8,126.8%増)
この好調な業績は、主に2024年10月30日にリリースされた「Pokémon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)」の世界的ヒットによるものです。ポケポケはリリース約1ヶ月半で全世界累計6,000万ダウンロードを達成し、2025年3月には新たな拡張パック「シャイニングハイ」の追加など、継続的なアップデートでユーザーエンゲージメントを維持しています。
第4四半期(2025年1月~3月)の進捗予想
DeNAは第4四半期に新規タイトルのリリースを予定していないと明言していますが、ポケポケの継続的な収益貢献とスポーツ事業(横浜DeNAベイスターズ)の安定した業績により、以下のような進捗が予想されます:
- 売上収益:
- 第3四半期までのゲーム事業の売上収益は505億8,100万円で、ポケポケの貢献により前年比29.4%増を記録。第4四半期ではポケポケのユーザー消費額が引き続き高水準で推移すると予想され、ゲーム事業の売上収益は前年同期(2024年3月期第4四半期の約130億円程度)比で20~25%増の約160億~170億円程度を見込む。
- スポーツ事業は第3四半期で売上高265億円(前年同期比12%増)を記録しており、シーズンオフの影響で若干riceFieldは若干鈍化するものの、ファンクラブ会員数の増加やグッズ販売の好調さが継続すると予想されるため、売上高は前年並みの約80億円程度を維持。
- 全体の売上収益は、ゲーム事業とスポーツ事業の堅調な推移により、第4四半期単体で約350億~380億円、通期で約1,500億~1,550億円(前年比約15~18%増)を見込む。
- 営業利益:
- 第3四半期の営業利益209億円はポケポケの収益性が牽引。ポケポケのプレミアムパス(サブスクリプション)の高い継続率や、ユーザー消費額の安定推移により、ゲーム事業の利益率は引き続き高水準(40%以上)を維持。
- 第4四半期は新規タイトルがないため開発費が抑制され、利益率はさらに向上する可能性がある。全体の営業利益は第4四半期単体で約60億~70億円、通期で約270億~290億円(前年同期比大幅増)を予想。
- ただし、ライブストリーミング事業やヘルスケア事業の赤字が継続する可能性があり、全体の利益成長を若干抑制する要因となる。
- その他の要因:
- 為替差損の影響(前年は中間期で純利益減益の要因)が落ち着けば、純利益も堅調に推移し、通期で約180億~200億円(前年比大幅増)を見込む。
- ポケポケのグローバル展開(150以上の国・地域)による為替リスクや、競争激化によるユーザー獲得コストの増加が潜在的なリスク要因。
ポケポケの売り上げ増加予想
ポケポケの第3四半期(2024年10月~12月)の実績は以下の通り:
- ユーザー消費額: 850億円以上
- DeNAの売上収益: 250億円以上(ユーザー消費額の約21~30%がDeNAの取り分と推定)
第4四半期の売り上げ増加予想
- ユーザー消費額:
- 第3四半期の850億円はリリース直後のピーク需要を反映。ポケポケは継続率が高く、月額制プレミアムパスの利用者も多いため、収益の安定性が特徴。第4四半期ではリリース直後の熱狂がやや落ち着くものの、新拡張パック「シャイニングハイ」(2025年3月27日追加)や定期的なイベント(例:ゲットチャレンジ)がユーザーエンゲージメントを維持。
- 競合他社のトレーディングカードゲーム(例:遊戯王マスターデュエルなど)との競争や、モバイルゲーム市場の飽和リスクを考慮すると、ユーザー消費額は第3四半期比で10~20%減の約680億~750億円を予想。
- DeNAの売上収益:
- DeNAの取り分比率(約21~30%)を基に、第4四半期の売上収益は約140億~200億円を見込む(第3四半期の250億円からは10~20%減)。
- 収益の減少は、新規ユーザー獲得ペースの鈍化や、初期の課金集中の反動によるもの。ただし、継続率の高さとサブスクリプション収入の安定性が下支えとなる。
通期のポケポケ売上予想
- 第3四半期までのゲーム事業売上収益(505億円)の大半がポケポケによるものと推定。2024年3月期のゲーム事業売上(540億円)と比較し、2025年3月期はポケポケの貢献で約750億~800億円(前年比約40~50%増)に達する可能性。
- ポケポケ単体の通期売上収益は約600億~650億円、ユーザー消費額は約2,000億~2,200億円に達すると予想される。
注意点とリスク
- ポケポケの持続性: ポケポケの継続率は高いものの、モバイルゲームのライフサイクルは一般的に短い(1~2年でピークアウトのケースも)。競合タイトルやトレンド変化によるユーザー離脱リスクが存在。
- 業績見通しの不確実性: DeNAは「ポケポケの動向による合理的な業績見通しの算出が困難」と述べており、第4四半期の予測には不確定要素が多い。
- その他の事業: ライブストリーミングやヘルスケア事業の赤字が続き、ゲーム事業の好調さを部分的に相殺する可能性。
- 市場の期待: ポケポケの成功は株価に織り込まれつつあり(2025年2月10日にストップ高、3月には3,714円の高値)、期待先行の反動リスクも考慮が必要。
結論
- 全体の進捗: DeNAの2025年3月期は、ポケポケとスポーツ事業の好調で通期売上収益約1,500億~1,550億円、営業利益約270億~290億円、純利益約180億~200億円を予想。前年からのV字回復が継続し、ゲーム事業の牽引力が鍵。
- ポケポケの売上増加: 第4四半期はユーザー消費額約680億~750億円、DeNAの売上収益約140億~200億円と、第3四半期からやや減少するものの高水準を維持。通期ではポケポケ単体で売上収益約600億~650億円、ユーザー消費額約2,000億~2,200億円に達する見込み。
この予想は、ポケポケの継続的な人気と市場環境の安定を前提としています。最新の決算説明会資料や市場動向を随時確認し、リスク要因(競争激化、為替変動など)に留意することが重要です。
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