2025年8月7日、株式会社フジクラ(証券コード:5803)が発表した2026年3月期第1四半期決算は、生成AIの普及による情報通信事業の急成長を背景に、売上高・利益ともに大幅な増収増益を達成しました。この記事では、決算のポイントとフジクラの今後の展望を分かりやすく解説します。
決算ハイライト(2025年4月1日〜6月30日)
フジクラの2026年3月期第1四半期は、生成AIの需要拡大が業績を牽引。以下の数値がその勢いを物語っています。
- 売上高: 2,679億円(前年同期比 +22.7%)
- 営業利益: 411億円(+68.0%)
- 経常利益: 418億円(+60.1%)
- 四半期純利益: 313億円(+63.9%)
- 1株当たり四半期純利益: 113.51円(前年同期:69.29円)
特に営業利益の68%増は、情報通信事業部門の絶好調ぶりを反映した結果です。
セグメント別業績:情報通信が圧倒的な成長
フジクラの事業は多岐にわたりますが、今回の決算で特に注目すべきは情報通信事業部門です。各セグメントの業績を詳しく見ていきましょう。
1. 情報通信事業部門(絶好調)
- 売上高: 1,438億円(+58.3%)
- 営業利益: 340億円(+124.8%)
- ポイント: 生成AIの需要拡大により、データセンター向け光ファイバ製品が大きく伸びました。この成長は、生成AIの普及に伴うデータ通信需要の急増を背景としています。
2. エレクトロニクス事業部門
- 売上高: 394億円(+5.3%)
- 営業利益: 17億円(▲52.2%)
- ポイント: 米国関税政策の影響で旧モデルを前倒し出荷したものの、為替影響により利益が減少。短期的な課題が浮き彫りに。
3. 自動車事業部門
- 売上高: 441億円(▲8.7%)
- 営業利益: 14億円(▲33.1%)
- ポイント: プログラムの端境期により受注が減少。回復には時間がかかる見込み。
4. エネルギー事業部門
- 売上高: 354億円(▲3.8%)
- 営業利益: 33億円(+8.7%)
- ポイント: 高採算製品の出荷が利益を押し上げ、堅調な推移。
5. 不動産事業部門
- 売上高: 28億円(+3.5%)
- 営業利益: 14億円(+1.0%)
- ポイント: 「深川ギャザリア」の賃貸収入が安定し、着実な収益を確保。
財政状態:安定性向上
- 総資産: 7,961億円(前期比 ▲342億円)
- 純資産: 4,453億円(+99億円)
- 自己資本比率: 52.5%(前期:49.1%)
現預金の減少(仕入債務や配当支払いによる)で総資産は減少したものの、利益計上により純資産が増加し、自己資本比率は改善。財務の安定性がさらに高まりました。
通期業績予想と配当:上方修正で株主還元強化
通期業績予想(上方修正済)
フジクラは好調な業績を背景に、通期予想を上方修正。以下の数値が示すように、さらなる成長が見込まれます。
- 売上高: 9,960億円(前期比 +1.7%)
- 営業利益: 1,420億円(+4.8%)
- 経常利益: 1,480億円(+7.8%)
- 純利益: 1,030億円(+13.0%)
- EPS(1株利益): 373.31円
配当予想(修正済)
- 年間配当: 150円(前期比 +50円)
- 内訳: 中間75円、期末75円
配当の大幅増額は、株主にとって嬉しいニュース。フジクラの自信と株主還元への意欲が伺えます。
注目の設備投資:次世代光ファイバ工場に450億円
フジクラは生成AI対応のデータセンター需要のさらなる拡大を見越し、千葉県佐倉市にSWR®次世代光ファイバ工場を建設することを決定。投資額は450億円で、2029年度の稼働を予定しています。この工場では革新的な技術を導入し、コスト競争力を強化。情報通信事業のさらなる成長を支える基盤となります。
まとめ:生成AIの波に乗るフジクラの未来
フジクラの2026年3月期第1四半期決算は、生成AIの普及による情報通信事業の急成長が牽引し、圧倒的な業績向上を達成しました。特に光ファイバ製品の需要拡大は、同社の中核事業として今後も成長が期待されます。通期業績の上方修正や配当増額、次世代工場への大型投資など、フジクラは時代の潮流を捉えた魅力的な成長ストーリーを展開しています。
投資家にとって、フジクラは生成AI特需の恩恵を受ける銘柄として注目に値するでしょう。今後の動向にも目が離せません!
免責事項: 本記事は情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘や推奨を意図するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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